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社長のちょっと聞いてごしない!
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NO.17
自然が教えてくれること
2011年04月
代表取締役社長 大野木 昭夫
 今回の東日本大震災で襲ってきた大津波には「設計に絶対は無い」ことを痛烈に思い知らされました。土木業界に携わる技術者として、日本の土木技術は世界でもナンバーワンであると認識していましたが、その技術でも制御できない自然の持つ底力を見せつけられました。

 震災後1ヵ月過ぎたにも関わらず、福島第一原発の事故処理は遅々として進んでいません。この一番の要因は、設計をはるかに超えた大津波にあります。
 最近の調査では、原発の津波対策の設計高は5.7mとしていましたが、実際は15mを越していたことが明らかになっています。
 
 万里の長城と言われた宮古市田老地区の堤防は、高さ10m・延長2433mと、日本の土木技術の英知を集めた構造物でした。「津波は構造物で守る」という国の方針で造られた堤防を、大津波は軽々と越えて行き、多くの町や村そこに暮らす住民たちと生活を呑み込んでいったのです。

 構造物の計画では、自然力を数値で設定し、それに耐えうる構造物を設計します。しかし今回の津波をみれば、自然の力は測りきれないものであって、この設計なら大丈夫といったような設計者や行政サイドの認識の甘さを露呈させたものでした。実際に、地元では「防波堤は次善の対策であり、沿岸から集落を離すことが絶対条件」との声が以前からあったようです。

 想像を絶する巨大な力を見せつけた大津波は、自然の力を過少評価し、技術で自然を制御できると思い込んだ人間社会への警告ではないでしょうか。聖書に記されたバベルの塔伝説が、現実に起こったような気持ちになりました。
※ バベルの塔=人間が天にも届くような高い塔を築き始めたのを神が見て、そのおごりを怒り、人々の言葉を混乱させ建設を中止させた。

 高度成長期の私たちの生活は、利便性と効率化を求め続け、なくてもよい物まで造り、しなくてもよいほど華美に飾り立てる流れがありました。かつてGNP世界第2位と言われ、日本中が浮かれた時代はすでにはじけ、その遺産が日本全体を苦しめています。真剣に生活のサイズを考え直し、自然や動植物と共生できる生活作り、都市づくりをしていかなければなりません。今回の大地震・大津波はそのことを強く警告してくれました。

 「足るを知る」・・・この言葉の意味するところをそれぞれが考え、今こそ、少しの我慢、我を優先せずまわりへ配慮をする、そんな心が必要とされています。
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